前回に続き、「はじめての転職」で見逃せないポイントをアドバイスしていきます。今回は営業職についてお話ししたいと思います。ご存知ですか? 転職市場において「営業経験者」は云ってみれば花形スターなのだということを。
営業職はスター候補生
こう断言すると、「なぜ?」という声が聞こえてきそうです。転職希望者に多い筆頭職種も営業職だからです。新卒入社で最初に「営業職」に配属されると、例外を除き、たいていの人が「本当にやりたいことは営業じゃない」と嘆く方が多いそうです。では本当にやりたいことは何か? そう尋ねて返ってくる答えといえばマーケティング/企画/事務職/のいずれかに該当することが多い。「実にもったいない」と私などは思ってしまいます。
なぜ営業職が転職市場におけるスターなのか? その理由をお伝えしていきましょう。まず、長いキャリア人生において営業職を経験した人はまず、次のステージに行く場合、選択肢が格段に増えます。なぜなら営業のプロセスとはセールスのみならず、ビジネスにおけるマーケティング、クロージングを戦略的に極められるからです。しかも管理者としてのマネジメント経験が加われば、引く手あまた、鬼に金棒レベルのスペシャルな経験値として認知されるからです。
営業職としての自分を因数分解
まずはご自身の過小評価に決別して、営業としての自分の強みを一度、因数分解することをお勧めします。いい転職を成功させるには、あなたにしかできない営業スタイルを確立することが先決であり、何よりの近道だからです。
■顧客特性:法人なのか? 個人なのか?
■商品:有形(プロダクト)なのか? 無形(サービス、コンサル)なのか?
■スタイルの特性:新規営業か? ルートセールスか? リアルか? バーチャルか?
■取り扱う金額の大きさ ■プロジェクトの規模 ■納期設定と数値目標
さらに企画提案型か課題解決型か交渉型かなど自分の強みを把握できれば、次のキャリアステージで目指すべき方向性は見えてくるはずです。マーケティング職を目指すにも、事業企画や事業開発をするにも、営業の現場で養われた知見は転職では立派な武器となります。実際、優秀なブランドマネージャーやマーケティングディレクターに営業出身者が多いことは見逃せない事実です。プロジェクト単位での目標設定や数値目標の管理。机上のプランニングだけでは脆弱な企画を営業現場の勘所と経験が底支えするという構図はあなたのキャリアにおいても適応できると思いませんか?
募集職種名のスペック要件をよく読むと「営業経験者、歓迎」と表記があるものが多く、さらに上記の因数分解によって導きだされたスキルの要素が合致すれば、業界未経験でも扉を開いてくれる異業界からのオファーが多いのも営業職の強みです。
石の上にも3年という気持ちで
「トップセールスになれないから」「新規飛び込み営業がつらいから」と単に後ろ向きな理由で「事務職にキャリアチェンジしたい」と相談にお見えになる方で転職がうまくいったケースは残念ながらありません。事務職のポジションは数に限りがある上に、年次により求められるスキルがより高度になる特徴があるからです。
石の上にも3年どころか最低5年は打ち込まないと習得できないレベル水準が存在することは、キャリアを重ねていく上でどの職種にも当てはまるのではないでしょうか。あなたがもし、「希望しないのにたまたま営業職になっただけ」と仰るなら。どうか嘆く前に、その偶然の采配をもっと活用してみてはいかがですか? とアドバイスしたいですね。
ワーキングとマザーと営業職
最後に。あまり知られていないことですが、ワーキングマザーの選択肢として、とりわけ法人営業は育児と仕事の両立に適している職種として注目されているそうです。
「明日までにお願い」と急な事務処理残業を命じられがちな事務職よりも9時から5時まで正規のビジネスタイムが明確な法人営業なら自己裁量で時間の按分ができることが理由のようです。営業職の捉え方が少しでも変わったなら幸いです。
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