2017.01.27

 

地方のネットワークを活用し、リスクをとって無競争市場に挑戦し、シェアを拡大している『ヤンキーの虎』たち。


遅ればせながら話題になった藤原英人さんの著書、『ヤンキーの虎』を面白く読みました。ざっくり言えば、ヤンキーの虎とはマイルドヤンキーを束ねる事業主のことであり、彼らが地方再生の担い手という論調で、地方へのエールとも読める内容でした。世代交代の進む地方豪族たちから熱狂的な感想が寄せられたという後日談も頷けます。
マイルドヤンキーとは博報堂マーケティング・アナリストの原田曜平さんが2014年に命名した概念であり、ご存知の方も多いでしょう。
上京志向が希薄で地縁血縁でつながる人間関係を愛し、地元から出たからない若者たちのこと。若者の消費離れが叫ばれる中、「スポーツカーはいらないけど、仲間と乗れるミニバンは最高」をはじめ、独特の消費傾向はこれからの日本経済の担い手とも言われており、「ヤンキーの虎」とはまさにこの世代を束ねる組頭のような存在です。独立型と世襲型に分類されるようですが、世代的には団塊ジュニア世代および、少しその上の世代に集中しています。

このブログでも何度も書いてきましたが、地方における事業承継は一筋縄ではいかないさまざまな課題を抱える現実問題です。その状況の中でヤンキーの虎たちは健闘し、なおかつ地方経済に貢献している猛者と言えるでしょう。興味深いのは成功しているヤンキーの虎たちにはある共通項があること。それは地方のネットワークを活用し、リスクをとって無競争市場に挑戦し、シェアを拡大しているという点です。

老舗の名にあぐらをかくのではなく、誰も挑戦していない新規事業やビジネスモデルを立ち上げ、その分野で業績を伸ばしていることが特徴といえるでしょう。かつてはスーパーだった店舗がいつの間にか卸業も宅配業もやり始めているとか、不動産ディーラーが売買仲介だけでなく、設計、建築、賃貸を含むワンストップサービスの事業転換に舵きりをするとか、消費者動向を読み、これまでありそうでなかった新規事業や新規業態の開拓を果敢に行っているのです。もちろん、その過程で淘汰されてしまう企業があるとはいえ、近年上場を視野に入れた快進撃を続ける企業も増えており、地方における独り勝ち企業も顕在化してきています。この短期集中型の成長を支えているのがマイルドヤンキー層です。マイルドヤンキーには「新保守派」という異名があるようですが、地元愛という大きな後ろ盾を得て、業務遂行を担い、事業の急成長を底支えしているのですから大いに期待したいところです。成長を実感できる環境や仕事のやりがいは地元愛をさらに強くするものなのかもしれません。勢いに乗ったこうした企業からは当然、一定のボリュームゾーンの求人が発生します。

 

地元へのUターン転職で発展途上中の企業を選択することをリスクと捉えるか、チャンスと捉えるか。


ところが、Uターン転職を考えはじめた方の多くが未だに「仕事がない」「求人がない」ということを理由に転職を断念するケースが後を絶ちません。残念ですが、求人ニーズが旺盛な地元の成長企業の求人票が目の前にあっても目に入らないのでしょう。「都落ちしない程度の会社レベルが希望です」という言葉に象徴されるように、会社選びの基準が「世間体」なってしまっているようです。
地元に帰りたいという本心よりも帰省先や身内に見栄を張りたいという気持ちが邪魔をする。その気持ちはわからないでもありません。大学卒業後、上京し新卒就職を果たした後で、やっぱり地元に帰りたいと思った時、おそらく誰かに相談するはずだからです。そのとき、10人中8~9人から「せっかく東京で就職したのに、もったいないよ」といわれるうちに、自分の人生の優先順位がわからなくなってしまう。そういう方が少なくない。「寄らば大樹の陰」という安定志向が強すぎるあまり、挑戦や成長などという未知数を自ら虐げてしまう傾向にあるといえるかもしれません。

巷で聞こえる「嫁ブロック」「親ブロック」による内定辞退の背景にも同様の心理が働いていると思われます。身内の反対が最も顕著に表れるのが大企業からベンチャー企業への転職だからです。大手、一流、一部上場。果たしてこうした評価はいつまで持続可能なのでしょうか。

「あの企業に就職すれば一生安泰」と言われた顔ぶれが並ぶTOPIXコア30社の株価指数を見れば明らかですが、いまの時代、もはや大企業でさえ、安心安泰の象徴ではありません。マイナス24%の内訳を参照すればおわかりのように、ソフトバンクのプラス15%を除外すれば、マイナス40%です。
地元へのUターン転職で発展途上中の企業を選択することをリスクと捉えるか、チャンスと捉えるか。人によってその捉え方はさまざまでしょう。では成長する環境に身をおくことがその後のキャリアにどんな影響をもたらすか。そのことを考えさせられる、ある事例を紹介して終わりたいと思います。

 

人生の優先順位を変えることで、見えてくる別の世界がある。


都心最大手企業のエンジニアがUターン転職をして、発展途上中の地方企業の管理職として採用された、Aさんのケースです。大手で通用する高い技術力を買われて採用されたものの、入社当初は「専門分野がニッチ過ぎて役に立たず、空回りする」日が続いたというのです。細分化された一事業部のスペシャリストの技術力よりも川上から川下まで全工程を俯瞰できる総責任者が重宝される地方企業。根強い地元コミュニティが色濃く残る企業でUターン帰京のAさんはちょっとした外様気分を味わったと言います。でもそのミスマッチに腐心することなく、それをきっかけに奮起されたのです。研修を受けるなど猛勉強し、より汎用性の高い技術力を取得し、その結果、統括責任者として抜擢されたとのこと。先日、わざわざ弊社に挨拶におみえになり、こんな言葉を残して帰られました。

「地方のほうがのんきに働けるという先入観がありましたが、大手企業で働いていたときよりも何倍ものチャレンジが必要でした。でも、そのことがこの歳になっても自分は成長できることに気づかせてくれたのです。仕事を通じて地元に恩返しができている実感があります。それが何よりもうれしいですね」

――人生の優先順位を変えることで、見えてくる別の世界があるのだなあ。
そんなことをAさんの言葉を聞いて、しみじみ思いました。

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