新規事業に進出した世界的なエクセレントカンパニー
先回、「新潟をITベンチャーの発祥地に」を掲げ、快進撃を続けている株式会社フラーのエピソードを書きました。
社長である渋谷修太さんの勢いに感化され、先日第四銀行が主催する経営者クラブによるアメリカシリコンバレー視察ツアーに参加してきました。
今日は現地で見たこと、聞いたことを書き残しておきたいと思います。
サンフランシスコから約一時間位、車を走らせると、名だたるIT企業の社屋が集結している地帯に着きます。集結といっても隣の会社に行くにも車がないと行き来できない距離感はあります。さながら北海道の富良野あたりの光景を想像していただくとイメージに近いかもしれません。この土壌がなぜ、日系の新興企業をはじめ、新規事業に進出した世界的なエクセレントカンパニーを生むのか。その秘訣をこの目で確かめたいと思いました。
GoogleやFacebookの社屋もあり、サンフランシスコと郊外をつなぐシャトルバスが行きかっていました。ここ数年、日本では職場と自宅の近隣化の傾向が目立っていましたが、シャトルバスの終着点をみる限り、決して家から近いという訳ではなさそうです。
これからの日本、ひいては地方都市では見習いたいモデル
興味深かったのはIT企業が集まる地帯の延長線にスタンフォード大学が位置していることでした。才能豊かで創造力に富む人材を輩出している名門校です。
抜けるような青空と豊かな自然に囲まれた広大な敷地内を、生徒たちは自転車で移動します。
清々しい青空をみながら、「ハーバードかスタンフォードか悩んだ末、決め手になったのはスタンフォードのほうが快晴の多いことかな」と、スタンフォード出身の知人が笑って話してくれたことを思い出しました。こと、日照時間の少ないことで有名な新潟や北陸地方者にとって天候が気分を左右することは経験上、実感しています。
適度に脳を休ませることが仕事の生産性をあげるということでマインドフルネスが注目されましたが、意識的にマインドセットしなくともあの青空をみているだけで頭から余計な雑念から解放されるようなリフレッシュ感を味わえました。
教室や構内のテラスではPCを広げながら学生同士が活発な議論をかわす光景も見受けられました。そういえば、四六時中スマホを眺めている人がほとんどいなかったことも驚きでした。
中国、インドの留学生をたくさん見かけましたが、残念ながら滞在中に日本の留学生にお目にかかる機会は得られませんでした。自分自身、スタンフォードを志望するという選択肢などゆめゆめ思いつかなかったクチですが、自分の娘の世代ではスタンフォードを目標にする選択肢も十分に考えられる時代になってきています。
実際にこんな環境で勉強できたらおそらく日本には帰ってこないだろうな、とついそんなことをとぼんやり考えてしまったほどです。
先に挙げたIT企業ではこうした学生たちに対して在学中からアルバイトやインターンなどを通じて門戸を開いており、地続きでつながっている印象がありました。(物理的には車で移動しなければならない距離とはいえ)
いっせいに新卒採用を行う日本の採用システムはここ、シリコンバレーにはありません。それぞれがオファーしたりアプライしたり、自分が居心地がよいと感じた場所に自然の成り行きで就職していく。そのフラットさはとても羨ましいと思いましたし、これからの日本、ひいては地方都市では見習いたいモデルだとも強く感じました。
少子高齢化とも無縁で、右肩上がりの成長を約束する、未来志向の明るさや勢いが感じられるシリコンバレーの環境。
自分の地域から始められることを模索し、発信していきたい
残念なことに新潟の現状はそれとは対照的で、大学進学時に学生のほとんどが他県に流出してしまう有様です。UIターンで呼び戻すことは現状でさえ難しく、学生の数が減少の一途を辿る近い将来、行き詰まることは想像に難しくありません。
彼らのように学生時代から自分が就職したいと思える会社と地元でつながることができたなら。町ぐるみで学生を職業人として育成できる基盤を用意できたなら。新潟の状況も少しは変わるのではないか。そんなことを考えました。マイナス要因が多いことを嘆いてばかりいてもはじまりません。
長岡市がいまそのロールモデルになりつつありますが、単に応援者として傍観しているだけでなく、自分の地域から始められることを模索し、発信していきたいと強く感じさせてくれた意義のある視察でした。
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