2015.12.18

安倍内閣が提唱する「介護離職ゼロへ」という公約。政府が新たな労働力として期待しているのはご存知の通り、女性、シニア世代、そして海外の実務研修生です。フィリピン、インドネシア、ミャンマーなどはまだまだ賃金が安いため、「日本で手に職をつけて働き、稼ぎたい」という若者は確かに多いです。

 ミャンマーへの訪問、海外実務研修性達の本音


 

先日、視察のためミャンマーを訪れました。彼らの日本での就職先候補は製造、農業、建設、そして介護業界。いずれの業界も賃金、待遇はどの業界もそれほど差がないため、人気に偏りはなく、実情としては「雇ってくれたところへ行く」というのが彼らの本音のようです。

 

周知のように、日本における人材不足の際たるものは介護業界。高齢化社会の需要とは反比例するように介護施設の倒産も後を絶ちません。去年は倒産件数が過去最高数を更新してしまったほどです。日本で担い手、なり手が少ない介護業界の人材不足を政府海外の労働力をアテにして「介護離職ゼロ」を掲げているのかもしれませんが、今回ミャンマーを訪問し、海外実務研修生と逢ってきて、期待値と現実のギャップを痛烈に感じました。女性活躍をきっかけに「仕事と子育ての両立」が叫ばれて久しいですが、近い将来、「仕事と(両親の)介護」の両立は日本の働き盛りとよばれる世代にとって避けて通れない切実な問題です。そこで、いつもと趣を変えて今回はミャンマーでの雑感を書いていきたいと思います。

 厳しい資格取得制度


 

率直に言いますと、日本で人気のない介護職はミャンマーでも人気がないというのが私の実感です。「日本で働きたい」という強いモチベーションを持った何人もの学生たちと話してみたのですが、彼らは口々に「介護業界を選択するには条件が厳しすぎる」といいます。

彼らに保障される賃金の水準、社会的地位はいわずもがな、さらに介護・看護職に従事するには4級の資格取得が義務付けられているのです。「介護業界はことさら求人数が多いから、仕事は必ずみつかる」というフレーズを信じて、一生懸命勉強して資格を取り、晴れて日本に渡ってきても、今度は1年以内に3級を取得しなければならない現実が待っています。

 

試しに3級試験のサンプルを取り寄せてみたのですが、想像以上に難しいのです。海外実務研修生には日本語検定など語学レベルのレギュレーションは設けられていません。とはいえ、この3級の設問を理解するには中学3年生以上の国語力は必須なのでは?と思えてしまうほどです。

こうした資格取得制度をはじめとする規制緩和や海外労働力の受け入れ態勢に関して今年、国会で討議されていましたが、残念ながら国会承認は先送りになってしまいました。

 

 介護に携わる者が離職しない手立てを真剣に考えなければならない


 

先に介護施設の倒産が後を絶たない件に触れましたが、この状況が継続、さらに悪化するとどうなるか。わかりやすく言えば自分達=家庭内で年老いた両親、義理の父母の4人の面倒をみることになります。ダブルケアという言葉が先ごろNHKの朝イチで取り上げられ、大きな反響を呼んだそうです。子育てと介護。最早、これはママという立場の女性だけの問題ではありません。女性活躍と少子化を本気で考えるなら、夫であり、パパである男達も働き方を変える必要があると迫られている問題なのだ、と私は常々思っています。

 

弊社の提携会社にケアスタッフという介護を担う人材紹介会社があり、日々介護業界のリアルに触れている者として、従来の規制緩和にとどまらず、もっと根幹のところで一歩踏み込んだ措置を講じなければ、「介護離職ゼロ」など夢のまた夢。絵に描いた餅にすぎないと、声を大にして訴えたいと思いました。

介護の現場にいる者として何か提言することができるとすれば次の二点です。

  • 介護に携わるスタッフの給与水準を上げること
  • 上記の人件費を確保するために、オペレーションコストを削減すること

 

両者とも企業がその気になって努力をすれば改善できないことではありません。1に関して言えば、給与水準のサーベイは同業他社ではありません。他業界よりも、高水準にし、満足のいく報酬を約束するだけではなく、彼らの社会的地位をあげるための努力もまた、これからの社会では求められます。さらに教育研修の充実も不可欠です。「介護を通じて社会貢献している」「ケアを通じて自分もまた成長できる」という働く喜びや実感を醸成し、彼らのモチベーションを維持していく努力を経営者はするべきです。2、に関しての方便としてよく経営者は「経営者の視点に立って」と言葉をすり替えますが、1,2とも経営者の責務です。介護離職者ゼロの前に、介護に携わる者が離職しない手立て真剣に考えなければ、いわゆる生産人口(働き盛り)の労働力さえ、期待できない世の中がすぐそこにやってきている危機感。そのことに、ひとりでも多くの方に気づいてもらいたいと思います。

 

(次回に続きます)

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