現在、公認会計士・税理士事務所からの求人オファーが急騰中です。アベノミクスによる景気上向き感が基調にあることに加え、今年の1月に改正になった相続税の大増税が影響しているようです。相続税の課税対象者が1.5倍に増えると当初噂されていましたが、実際には地価や株価の上昇変動の影響で課税対象となる世帯は全国で600万世帯から倍増し、およそ1200万帯に上る見込みと言われています。実質、約2倍。不動産など即座に現金に換えることが難しい財産を生前贈与という形で子どもや孫の世代に引き継ぎたいという親世代の気持ちが動いている証ともいえましょう。
会計士・税理士事務所は二極化
相続対策という名のもと、親世代の財産(資産)を若い世代に移し、若い世代の消費活動を促し、景気回復へという政府の思惑もあると言われていますが、仕事柄、地方都市における事業承継の難しさを日頃、目の当たりにしている私としては親が元気なうちに次世代に受け継ぐものを親子で明確化しておくことは悪いことではないと感じています。こうした国の政策の恩恵が現在、公認会計士、税理士事務所に循環してきているのだな、という印象を受けます。とはいえ、すべての事務所が繁盛しているかといえばそうではなく、有り体に申し上げますと二極化しているのが現状です。
新潟市内の税務管轄地において登録している税理士事務所の総数は250件。需要を考えれば、この数は決して多くはなく、むしろ少ないと考えて間違いないでしょう。限られた事務所が仕事を均等にわけあうのではなく、仕事が多い事務所はさらに業務が増え、人員を増やして拡大基調にあるのに対し、新規顧客をつかめない事務所は次第に淘汰され、拡大基調にある事務所にクライアント、社員ごと吸収されてしまうケースが少なくありません。
毎日終電帰りでハッピーと定時で安定なケース
先日、ある監査法人にご紹介した転職者に久しぶりにお話をする機会がありました。彼は「週のほとんどが終電帰りです」と本当に忙しそうな口ぶりでしたが、なぜかまんざらでもない、と申しますか、忙しさにさえ、ある種の喜びを感じている様子でした。自分の専門性がストレートに発揮でき、なおかつ、その仕事が世の中に求められている。月並みですが、やりがいを感じている人の充実した表情を感じました。好きな仕事に専念することで事務所の業績もよくなる→目に見えて会社の成長に貢献しているという実感が湧く→さらに仕事が楽しくなる、というハッピースパイラルのもっとも好ましいパターンではないでしょうか。
一方で営業をしなくとも一定の既存顧客が見込め、安寧安泰の空気感が漂っている事務所では毎日定時に帰社できる充実感があり、仕事のルーチンも安定している。それはそれで捨てがたいかもしれません。けれど、考えてみて欲しいのです。いまいる事務所は一生安泰でしょうか。その事務所の看板をあなたが継ぐ確率はどのくらいでしょうか。あなたがもし、将来独立したいと考えるなら現在在籍している事務所にいて経験できることの市場価値を一度冷静に見直す機会を持つべきではないでしょうか。仕事が集中する事務所で経験できる案件とルーチンが当たり前になっている事務所では5年後、明らかにキャリアの差がでてきてしまうことは否めません。
監査法人、公認会計士・税理士事務所の転職限界年齢は・・・
有資格者であれば35歳、資格取得を目指しながら働いている方は30歳をひとつのボーダーラインに、将来のキャリアを見据えて目の前にある仕事を吟味することも必要です。自ら仕事を選択していくことは喩え、サラリーマンと云えども求められる時代ですし、専門性の高いスペシャリストであればなおさらその意識は重要なのではないか、と思うのです。
言葉は悪いですが、いわゆる先生の「おかかえ従業員として終わっていいのかどうか」自問する時期は大事でしょう。仮に35歳を過ぎて独立や転職を考えたときに、これまでに経験してきた仕事の量や質は動かしがたい実績として残るのです。いまいる場所がこれまで税理士資格を取得するための努力や労力を捧げるのに今後も値する事務所かどうか、ある時期を境に見つめ直す機会も必要かもしれません。さらなる成長を自分に課すために転職する、という選択肢があってもいい。もっと大きな事務所へという選択だけでなく、事業会社でこれまでの経験を活かした仕事をするという転身も考えられます。
求人ニーズが急騰しているタイミングというのは実は求職者にとっては実はチャンスなのです。言い換えれば、それは勢いに乗って拡大基調にある企業を選ぶことで自分をさらに成長させてくれるステージ獲得につながるからです。
「機を読むことは大事」だとはよくいわれることですが、世の中の波に乗ってご自身の成長の機を見極めるしたたかさもこれからの時代は求められる資質のひとつなのではないでしょうか。現在、弊社には優良企業から多くの求人が寄せられています。「いいところがあれば転職したい」と漠然と考えていた方は、この機会にぜひお問い合わせください。
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