「欲しい人材を採用できる」企業
求人倍率の上昇が止まりません。首都圏をはじめ全国の平均倍率が1.5倍であるのに対し、新潟の求人倍率は現在(2018年8月)、1.75倍まで跳ね上がっています。ちなみに去年は1.5倍でした。年々上昇傾向にあるようです。売り手市場と言われて久しいですが、「誰かいい人いない?」という常套句が関係者同士で交わされるようになっているほどです。特に求人ニーズが高騰しているのは20~30代の専門職。こちらも変わりません。
こうした状況下でも希望通りの候補者を採用できている企業もあるのです。数は限られていますが、よくよく分析してみますと、「欲しい人材を採用できる」企業にはどうやら共通する特徴があることに気づかされます。その特徴とは
- 成長企業であること
- 事業そのものが専門性に秀でていること
- ものづくり、研究開発に特化していること
以上の3点に加え、さらに特筆すべきは、社長自ら採用活動に積極的にコミットしている点です。決して、人事部任せにしていません。自ら事業方針を熱く語り、面接の現場に足を運び、実にイノベーティブです。
日本も今後、インターン時からの実質採用になるだろう
先日、経団連の会長が企業の採用活動の時期を定める「就活ルール」を廃止する発言をし、波紋を呼んだニュースはまだ記憶に新しいことと思います。
これまでの日本型雇用からの脱却なるか、と期待の声が寄せられる一方、優秀な人材の一極集中も心配されていることも事実です。大手IT企業をはじめ、すでに「新卒廃止」を実施している企業も出ていますが、新卒採用が廃止されれば、当然、転職市場にも大きな影響がおよぶはずです。
とりわけ地方の中途採用において、どんな変化が予想されるでしょうか。
私の考えでは、おそらく日本も、ますますシリコンバレー化するだろうということです。私は視察のためにシリコンバレー現地を何度か訪れていますが、そこで直感したのは日本も今後、インターン時からの実質採用になるだろうということでした。現在、すでに日本でも就活希望者はSNSを活用し自己アピールすることで企業とダイレクトにつながることが可能になっています。自己の適性を自分で開拓していき、仕事に就くことが主流になれば、転職市場においても変化の流れは不可逆的です。
魅力的な特徴を持った企業はそれだけで強み
たとえば、自分のスキルを磨き、成長し続けられる自己成長型モデルの人材は今後、私達エージェントの仲介などを必要とせず、バイネーム(指名による)転職を可能にしていくことが十分に考えられます。
数で言えば、ルーティンをこなすことを得意とする現状維持型の人が生産人口の6割を占めると言われていますが、彼らにとって新卒入社後のOTJという職業育成の機会は自分の適性判断をするための格好の機会として機能していました。新卒採用が廃止になれば、自分にとっての適材適所を求めてさまよい続けるジョブホッパーが増える可能もでてきます。ところが、こうした厳しい現実さえ、自己責任で片づけられてしまうのがいまのご時勢。私達エージェントもまた、仲介サービスの使命とは何かを模索する、転換期を実感するこの頃です。
もちろん、企業側も例外ではありません。専門性や得意事業領域を上手くアピールできなければ、魅力的な人材を採用することがますます難しくなり、淘汰されていく。グローバル化の掟とはいえ、厳しい時代と言わざるを得ません。
ここで、先に挙げた採用に成功している企業の3つの特徴を照らし合わせてみれば、優秀な人材を惹き付ける魅力的な特徴を持った企業はそれだけで強みであるということがわかります。ただ、それに甘んずることなく、自ら採用にもコミットしていく。競合優位性を語る上でも、そんな社長のセルフプロデュース力が今後ますます求められることは、どうやら間違いないようです。
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