Uターン転職を成功させるには夫婦の合意が不可欠
私達はこれまで、全国の主要都市から新潟へのUターン希望者の転職を数多くサポートして参りました。
大企業から新潟本社にある関連企業への転職。首都圏から新潟支社への転職。業態、業種のスライド転職。未経験からの異業界転身。このように求職者のご希望に併せ、実にさまざまなケースがありました。多種多様な転職事例の共通項をあげるとするなら、以前よりも会社の規模が小さくなる、ということです。これにはメリットデメリット両方あります。
まずメリットですが、規模が小さくなることで社長や経営幹部とダイレクトに業務を推進していけることが挙げられます。同じ業種、同じ職種でもUターン転職を機にポジションアップが可能になったり、図らずも仕事上のステージアップが約束されることが少なくありません。
当然、裁量のスケールは大きくなります。経営者により近いところで事業を展開する醍醐味や自己裁量で仕事を推進できる。このチャンスをまたとない成長の機会と捉え、水を得た魚のようにバリバリと仕事を楽しんでいらっしゃる方を何人も見てきました。
Uターン転職の転職動機の半分以上が親の介護や家族の事情であるため、最初は仕方なく、というネガティブな動機で相談におみえになった方が、家族との折り合いをつけながら、新たな仕事のやりがいをみつけ、地元新潟で活き活きと働く姿を見ることは私達にとって何よりの喜びです。
ところが、残念ながらUターン転職の実現から1~2年も経たないうちに、ふたたび首都圏へ戻ってしまわれる方も少なからずいらっしゃいます。
その理由の多くがUターン転職のタイミングで家族がついてきてくれなかったケース。単身赴任で働きながら週末は家族のいる都心へ帰る。こうした二重生活に疲れた、という声をよく聞きます。
共働き夫婦も増え、それぞれのキャリアの実現に向け、夫が単身赴任という選択をせざるを得ないのが世の中の流れとはいえ、地方勤務のメリットのひとつである、生活支出を抑えられるという経済的メリットが叶わず、かえって、家計がひっ迫してしまい、元の生活に戻す、というパターン。 Uターン転職を成功させるには将来の設計図を青写真とした夫婦の合意がやはり不可欠であることを実感させられます。
地方企業が都心の大企業から転職してきた中途採用者に求めることは「即戦力」
もうひとつのパターンは「仕事の裁量が大きくなる」という先述のメリットをデメリットと受け止めてしまう方のケースです。ダイレクトに自分の決断や判断が仕事の結果を左右するいう周囲の期待感を重荷と感じてしまうタイプの方。もしかしたら、こうした方の気持ちの根底にはUターン転職希望者にありがちな「地方勤務になれば、ゆとりのある生活ができる」という幻想があるのかもしれません。都心から地方都市に転職すれば、これまでより残業が少なくなり、ゆとりある生活を期待されるとでもいいましょうか。
しかし、地方企業が都心の大企業から転職してきた中途採用者に求めることは「即戦力」以外のなにものでもありません。
ところが話を聞けば、大企業に在籍していた時に、大きな歯車のひとつとして与えられたルーティンをこなす勤務に慣れていると、規模の小さな会社で役員クラスと直に対峙する仕事を任された時に、自分で判断することの多さに、まずとまどうというのです。
なかには「常に監視されているようで仕事がしづらい」と漏らした方もいました。こういっては何ですが、大企業の大きなオフィスでPCに向かっていれば、さぼっていても一日をやり過ごすこともできるでしょう。しかし、規模が小さな会社のオフィスに身をおけば、誰が何をしているかは一目瞭然。言いかえれば、社長や重役に率直に発言したり、提案できるという風通しのよさがあるオフィス、ともいえるのですが、どうもこの状態をチャンスと捉えきれずに、重責だとひるんでしまう方が一定数、存在するようなのです。
私からいわせれば、「もったいない」の一言に尽きるのですが、こればかりはやはり、ご本人の適性によるところが大きいといわざるを得ません。
説得むなしく、元の大企業に再びかえってしまう方も一定の割合で存在するのが現実です。
Uターン転職ではご自身の適性を吟味することも重要
求職者の立場では、やはり採用されたい気持ちが先立って、面接ではついつい背伸びした発言をしがちです。転職してしまえば、最初の1年位は「様子見」として仕事環境に慣れるまでのアイドリングを許してくれるだろう・・・などと思ってしまうと、これが大きな誤算となります。
面接での約束が「有言実行」でなければ、即戦力は務まりません。
転職によって、自分のやりたいことができるかどうか。これまでのキャリアを活かせるかどうか。
これに加えて、自分にできることとできないこと。という判断軸がUターン転職においては重要になっているようです。
もしも、Uターン転職に求めることが「生活レベルのゆとり」だけであるなら、厳しい現実が待っています。こうした視点から、Uターン転職ではご自身の適性を吟味することも重要であることをお伝えしたいと思います。
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